HIV対策は国民的問題

投稿者: 投稿日時: 2009/04/23 7:02:14

昨年度上半期の献血者中のHIV陽性者が東京都を抜いて大阪府が14人とダントツになったことから、厚生労働省は大阪府に、献血の安全を守るために調査対策を行うよう指示した。

だが、これは2つの点でミスリーディングであり、ことの本質を誤らせる可能性がある。
つまりHIVは国民全体の公衆衛生上重要な問題であって、血液の安全性が主たる問題ではないからだ。

なぜかというと、献血血液はHIV抗体とHIVRNA検査によって、3000万分の1程度の確率でしかHIVを見逃さない体制になっているから、HIV陽性献血者がいてもほとんど血液の安全を損なわれない。

また大阪府の献血者が特に悪質なわけではなく、これは大阪府の住民のHIV陽性率が高いことを反映したものにすぎない。

もうひとつは、看過しがたい厚生労働省の歪んだ意図である。厚生労働省はエイズ薬害事件で元生物製剤課長が有罪となったことで、責任をとられることをもっとも恐れる官庁になった。

だから、国民一般の公衆衛生というような責任のはっきりしないことよりも、血液の安全という監督責任がはっきりしていることを強調するのである。

そもそもHIVはその感染経路の特殊さから偏見に満ちている。今やHIVは不治の病でなく、エイズ薬害事件の被害を受けた血友病患者でも、HIVよりHCVが死亡原因になることが多い。にもかかわらずHIVだけがまるで悪魔の病のように恐れられている。こうした状態の矯正こそ急務であろう。

HIVの感染拡大様式には欧米型とアフリカ型があって、欧米では覚せい剤注射のような静脈経路が優位だが、アフリカ型では性交渉による感染が多い。そして、わが国もまさにアフリカ型である。

したがって、HIVの蔓延を防ぐためには性病としての対策が基本であり、完全ではないがコンドームを使った安全なセックス以外にない。ACのテレビ広告が「元彼の元彼女の・・・」というHIV感染のネットワークを指摘し、セックスパートナーを少なくすることを示唆していたのはまことに正しい。

一方、すでに感染している人を検出して適切なタイミングで早期治療を行うべきであろう。CD4リンパ球が200-500/μLの間で治療を開始することが最善とされており、エイズ発症前に治療が成功すれば、一生治療薬をのむことは必要でも、糖尿病などと同じ慢性疾患ともいえるのである。

そのためには即日検査の普及、つまり南新宿センターのように土日夜間に検査をうけられる体制を全国的に樹立する必要がある。

そして、わが国でとくに重要なことは、MSMの方への差別といわれるかもしれないが、肛門性交を避けることである。なぜなら肛門は脆弱な粘膜であって、その感染率は正常性交の数十倍に達するからである。コンドームも残念ながら完全でない。というのはその破損率が10%のデータが出ている。

一方翻って献血の安全をいうなら、血液行政に関する懇談会答申を遵守して、HIV陽性献血者に告知することをすべきであろう。そうでなく、建前は告知しないとしながら陰で電話で呼びだしているような現状が、逆説的ながらHIV検査希望者を献血現場に誘引する結果を招いているのである。


これまでのコメント

  1. 匿名 :

    献血でHIV通知するとは知らなかったな。
    本当ですか?

  2. 無記名 :

    投稿者さんの意見に賛同いたします。
    そして、私が思うに、日赤は献血の際にHIV検査はするが、結果陽性であっても告知はしないとしていた方がよいかと。
    HIVの検査は保健所で無料にて行われているので、「検査の為の献血」を防ぐためには、そちらに誘導するよう国や自治体主導の大々的なキャンペーンを実施すべきであると考えます。
    そういえば、パペットマペットという芸人を起用してCMを流していた時期がありましたが、もっと大きくやるべきですね。匿名で検査を受けられ、プライバシーの保護が守られていると説明されてました。
    あと、家庭用の検査キットも市販されているようなので、そちらももっと広告して欲しいものです。

  3. 匿名 :

    検査のための献血に実害はないと言っていると思いますが。

  4. 匿名 :

    HIVの報告数が10年連続上昇していおり、いわゆる先進国では唯一の現象である。
    しかも世代が若年化している。若い世代の性的放縦と関係あるのだろうか?
    はたまた風俗産業の隆盛と関係あるのだろうか?

この記事にコメントする(公序良俗に反するコメントは予告なく削除することがあります)

カテゴリー

投稿文へのコメント

 

2009 年 4 月
« 3 月   5 月 »
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

携帯電話からのアクセス

Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project. ログイン