献血か売血か

投稿者: 投稿日時: 2009/04/21 10:38:33

世界献血デーに某国大使館が昼食供与を前提として献血者を募集したところ、2000人の応募があり、数百人が献血したことが美談として報道されている。

だがこれは本当に美談だろうか?確かに、大使館関係者が、わが国のBSEに関する過剰な献血制限(英国滞在歴で不可)により献血できないため、日本人にかわりを求めたという経緯は理解できるのだが、献血とは文字通り代償を求めない行為であり、賞賛しがたい。

世界輸血学会もWHOも献血の定義として、代償として交通費やささいな記念品以外のものを認めていないし、なにより2003年に制定されたわが国の、「安全な血液製剤の安定的供給等に関する法律」も売血を明文で禁止し、厚生労働省も献血にさいして交通費と記念品以外のもの供与することを認めておらず、採血された血液はバッチ(一度に献血された単位)ごとに献血によるものだという採血責任者の証明がなされることになっている。

なぜ献血が重要かというと、戦後まもなくの売血は「黄色い血」とよばれ、ライシャワー駐日米国大使が売血でC型肝炎に罹患したように、売血者の血液の感染症の比率が高いことがわかっているからであって、倫理的というより科学的な制限ったといえる。

もっともこの時代と違って、検査が進歩した現在では感染症陽性血液は献血であろうと売血であろうと除外されるので、売血で感染症罹患率が高いことが輸血の安全をおびやかすかどうか疑問なきにしもあらずではあるが、その場合でも倫理的観点からは献血が望ましいことはいうまでもない。

さて、先の問題に戻ると、世界献血デーに大使館で献血した人たちは、生活苦の売血者とは違い、ただお国料理を食べてみたかっただけなのであろう。

だが、これを許せば、血液センターやライオンズクラブが献血者に食事を供応することも許さなければならなくなる。そうすれば、ついには食事を求めて献血に来る者も拒めなくなって、売血者とどこが違うのか理念的に明らかでなくなるのではないか。

本当に血液の安全性にとって献血が重要かどうか、今一度国民的論議をしてみる必要があるのではないか。なぜかといえば、現在の献血自体、問診から始まっていろいろな手続きがあって最低30分はかかるので、以前のように簡単にできるようなものではなくなっているからである。

だとしたら、売血のような報酬としてではなくても、なにがしかの金券を配った方が、協力してもらいやすいと考えられるし、実際今回のケースはそのことを実証した。

その場合供血者と呼べばよいのであって、献血か売血かにこだわる科学的合理性はもはや乏しいと思われる。

もしなお「献血」の重要性をいうのであれば、今回のことは美談ではなく、誤った方法論であったといわざるをえない。

日本人にとってボランティア活動というのは完全に無償では成立しがたいのも事実ではあるが、より高い精神的水準の献血を求めるべきではないだろうか?


これまでのコメント

  1. 匿名 :

    派遣切りの人の為に、血液銀行復活か。

  2. 栄蔵 :

    血液は身体の一部である。
    あくまでも寄贈するものであって売買するものでないという倫理観が必要である。
    これを許すとエスカレートして金になる臓器を売買するものがあらわれる。
    一部の国では金のために、刑務所の服役者や誘拐された子供の臓器が移植用に売買されている。

  3. 匿名 :

    血液と臓器をいっしょくたにすることはありません。
    血液は再生がきくが、臓器はきかないからです。
    だから血液銀行復活も悪くないと思います。

  4. 栄蔵 :

    @ :
    再生がきくとか、どうとか言う問題ではありません。
    身体の一部を売ることが卑しい行為だと言いたいのです。

  5. 匿名 :

    結局、どこで線を引いて納得するかの問題だと思う。
    現実はきれいごとでは済まされない場合が多い。

  6. 匿名 :

    エホバの子供は、献血した血液を受ける事が、親の宗教で出来ない。
    自由、法律、宗教・・・どうしようか?

  7. 匿名 :

    献血供給事業団というのが東京都で輸血用血液を運搬しているが、相当問題のある組織のようだ、詳しくは献血ちゃんねるの日下一男氏の書き込みをみてほしい。

  8. 匿名 :

    骨髄提供も骨の提供でなくて、血液の提供だから献血に似ているが、そのドナー保険というのがはやっているという。だが、その保険料はだれが負担するのだ?
    ボランティアがその行為の危険性に対する保険を自分で負担しなければならないのか?
    もしそうだとしたらおかしくないか??

  9. 匿名 :

    私の父は、戦後の混乱の中日雇い人扶の仕事が無い時は、血液銀行に行き、血を抜いてお金を貰い、私達家族を食わせてくれた。
     
    エイズ、肝炎などの感染症が叫ばれるいま、当時は、注射針を煮沸消毒をしなければならない状況であったが、消毒はせず使いまわしで血液採取をしていた。
     
    そして、時は過ぎて、父は42歳の年に肝臓ガンで死亡した。
     
    今から思うと感染で肝炎になり、肝臓ガンにそれが元で死んだのだと確信している。

  10. 匿名 :

    だから献血がいいというお話ですか?

  11. ムダ :

    不健康な血液が集まってもねえ。感染してなくとも。

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