検察とメディアの裏事情

投稿者: 源五郎 投稿日時: 2009/04/02 19:00:45

私の友人に元検事で、現在弁護士をしている人がいる。最近はお互い離れているせいか、年賀状で挨拶する程度である。彼は、地方の検察庁を三度ほど転勤し、その後郷里に戻り、自ら弁護士事務所を開いた。

もう20年以上前だろうか、久しぶりに肝胆相照らし、一献傾けたことがある。その時彼に『何で検事を辞めるの』と尋ねたことがある。

彼は、笑いながら『やらなくていいことをやるんだよなぁ』と漏らしていたことを思い出した。私も当然、彼の立場を弁えていたから、それ以上は聞かなかったが、言いたいことも言えずストレスが溜まっていたような印象が残っている。

今、検察のあり方について盛んに議論が行われている。検察リークと呼ばれるものである。起訴前の容疑者の捜査情報が報道機関によって流出する。

ここで、曰く付の『関係者』が登場する。これは明らかに守秘義務違反に抵触する。友人が徹底していた『守秘義務』を大きく裏切るような思いがした。そして、この情報が、真しやかに我々の耳目に届く。
「関係者の証言でわかりました。検察もそれを認めています」という妙な表現である。

これも10年以上前だろうか福岡地検の検事が裁判官に情報を漏らし、メディアで公になったことがあった。不思議にもその検事が友人の知人であったことにも驚いたが、恐らく検察の不祥事といえばこれ位である。

後にも先にも表沙汰になった例は記憶にない。これからみても検察の「信頼」は絶大で、ある種の「実績」で権威が保たれていた。

民間の取材記者の使命は情報獲得である。逸早くスクープし、他局との取材合戦に勝つことである。凡そ、個人の実績が評価され、収入に繁栄していくシステムであろうと想像するが、サラーリーマンの宿命である。

そこで会社は法律違反ではないから、守秘義務のある公の機関から裏情報を収集することが不当な行為とは考えていないのだろうか。公序良俗の見地で言えば、相手に違法行為をさせていることになりはしないか。

検察も身柄を拘束したまま捜査情報のリークを繰り返し、世間に多大な影響を及ぼしていることは承知しているはずだ。あえて金棒引きに「ここだけの話だが・・・・」と“耳打ち”する必要があるのか。

となれば、何か有益な「裏事情」があるはずだと疑念を持たれるのが常である。“耳打ち”の行為は個別の「私」に当たる。それが「公」となって表面化する。

検察の「裏事情」で「職務上知った秘密を守る」べき法律上の義務に違反する。違反者は最高1年の懲役又は最高3万円の罰金だそうだ。罰則が交通違反並みである。

しかし、この違反がどれだけ大きい意味を持つかである。職務の性格性から見ても、この法律に合点がいかないのである。強大な権力を持っているからこそ、自ら厳しくなければならないと思う・・・。

国民に「信頼」のための「実績」は必要ない。真実だけである。国が動くほどの大事に、「裏事情」に振り回されては、たまったものではない。それでは国民のための正義が泣く。

国民から最も信頼のある最高機関であるからこそ、正々堂々説明責任を果たしてほしい。
『やらなくていいことをやるんだよなぁ』と漏らした友人の言葉が妙に気にかかるのである。


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