政府はGDPのマイナス5%を克服する経済政策を立案実行せよ

投稿者: 一凡人 投稿日時: 2009/04/03 15:35:55

日経新聞3月18日夕刊によると、国際通貨基金(IMF)が近く公表する世界経済見通しの改訂で2009年の日本の実質経済成長率を5.0%のマイナス成長へ下方修正する方向で検討しているが明らかになった、とのこと。

これは世界経済のマイナス0.6%、ユーロ圏のマイナス3.2%と比べて格段に悪い[1]。

日本のGDPは約500兆円であるから[2]、その5%は25兆円にもなり、これだけの生産が減ることは、これだけのものを生産していた者が働けなくなることを意味している。

もしも政府が25兆円の紙幣を印刷し、この金を使って国民の生活に役立つ仕事へ支出したら、25兆円相当の失業者は居なくなり、日本のGDPが25兆円も減ることを防ぐことが出来る。

政府が行うべきことで国民の生活の向上に役立つことは幾らでもある。例えば、全国に保育所を増設して女性が安心して働けるようにする、老人介護施設を増設し老人が安心して暮らせるようにする、風力発電や太陽発電施設を大増設して将来の石油危機に備える、都市の交通麻痺を緩和するためにバイパス道路を建設する、開かずの踏切の解消、地上の交通麻痺を緩和するために地下鉄を建設する、交通事故を減らすために道路の拡幅を行う、北朝鮮の核ミサイルに備えて核シェルターを兼ねた地下駐車場を建設する、等々である。

もし、政府が紙幣を印刷し、その金を使えば上記の事業を行うことが出来、失業者には職が与えられ、できあがった施設は国民の生活水準向上に役立つ。

もし、政府が何もしなければ、今まで働いていて25兆円の生産を上げていた人々が失業者となり、無為に遊んで暮らさねばならなくなる。

政府が何もせずに失業者の増大を放置するのが良いか、彼らが働けるように紙幣を印刷するのが良いか、議論の余地は無いはずである。

政府の予算支出は、自民党の議員は熊しか歩かない山奥に高速道路を作ったり、旧郵政省は何千億円か掛けて数百万円で売り飛ばす建物を作ることだと思っていたようだが、勿論、彼らの常識は変えて貰わなければならない。

自民党の中にこの政府紙幣を発行すべきだとの声もあったようだ。しかし、実際上、紙幣が今の日銀券と政府紙幣の2種類になるのは使う者には不便である。政府紙幣を発行しなくても同じ事は現在の国債発行の手段で行うことが出来る。

例えば政府が25兆円の国債を発行し、日銀が市中から25兆円の国債を買い入れれば、経済的には政府の発行した25兆円は日銀が買い取ったのと同じである。政府は25兆円の国債発行額に等しい支出を行うことが出来、上記のような事業を行える。

政府の負債は見かけ上25兆円増え発行した国債の利子負担が増えるが、日銀が受け取る利子は国庫納付金として政府へ戻されるので、国民への実際上の負担は生じない。

日銀は25兆円の国債を買い入れるために25兆円の紙幣を印刷する必要があるが、まさにこの25兆円が政府の手に渡り、上記の事業を行って25兆円相当の資産が形成され、失業者の増加を防げる。

もし、経済が正常であって失業者の増大が無い状態で政府が25兆円の国債発行を行い、日銀がその買い取りのために25兆円の紙幣を印刷したら、原理的には5%のインフレを引き起こす可能性がある。

しかし、今の場合は、マイナス5%の経済縮小を食い止めるための国債発行であり、インフレの懸念は存在しない。万一インフレになれば、それだけ経済は活性化したことになり、株価の上昇や経済指標の向上に寄与するだろう。

昨年のノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン米プリンストン大学教授は何年も前から、日本は財政政策をもっと拡大し、それに合わせて日銀はマネーを増やすべきだと主張していたが、今は失われた10年を過ごした日本の失敗に学べと言っている[3]。

元経済財政政策担当大臣の竹中平蔵氏のように、当時の経済政策は失われた10年ではなく、旨く行ったと自画自賛している者もいるが、一人当たりGDPは10年前は先進国中のトップであったが、今は最下位になっていることからも、日本政府の失政は明らかである[4]。

クルーグマン教授彼は3月17日にブリュッセルの欧州連合(EU)本部で記者会見し、財政出動の目安として「米国とEUは年間でGDPの約4%分を景気対策に充てるべきだが、オバマ大統領の景気対策は約2.4%、EUはさらに少ない」と米政府やEUの景気対策を舌鋒鋭く批判したとのこと[5,6]。

日銀は長期国債の買い取りを昨年12月にそれまでの1兆2千億円から毎月1兆4千億円へ増やしたが、3月18日の金融政策決定会議でさらに4千億円増やし、月に1兆8千億円にするとのこと[7,8]。

IMFは日銀の昨年来の毎月1兆4千億円の国債買い入れは知っているはずで、それでもマイナス5%、25兆円のGDPの減少を予測したのだろう。そうであれば、この度の日銀の年に4兆8千億円の国債買い入の増額はあまりにも少なすぎる。

米連邦準備理事会(FRB)は3月18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、信用市場の回復のため、今後半年間に中長期の国債を最大3000億ドル(約29兆円)買い取ることを決めたと発表した。

これは年率にすれば58兆円であり、住宅ローン・住宅市場を一段と支援するため、政府機関が保証するモーゲージ担保証券(MBS)を最大7500億ドル追加購入し、今年の総額を最大1兆2500億ドルとすることを加えると1兆5500億ドル、約155兆円と日本よりも遙かに巨額である[9]。

米国の公的資金155兆円と日銀の国債購入額の年に1兆8千億円x12=21.6兆円を比べると、まさに月とスッポンであるが、これが数多くのノーベル経済学賞受賞者の居るアメリカと、大した能力もない日銀の担当者の知力の差を反映しているのだろう。

この違いは、太平洋戦争でアメリカ兵の自動小銃に対して、明治38年制式の38式歩兵銃で戦わせた日本の指導層の愚かさと同様である。

アメリカがノーベル物理学賞受賞者を集めて原爆の開発研究を行っていたときに、日本政府は竹槍で国民を武装させようとしていた。

すなわち、対峙する敵がいかなるものなのかを正確に認識できず、勝ち目のない戦闘で累々と屍をきづいた無能さを今も発揮している。

この度の経済不況が明らかになった昨年に、日本政府は不況の原因はアメリカにあり、日本は蜂に刺された程度だと呑気なことを言ったが、今や日本政府の無能な対応で、世界一の損害を被りつつある。

日銀の白川総裁は長期国債の保有高は銀行券発行高という上限に近づいているが、そのルールを見直すことは全く考えていない、と愚かなことを言っている。

100年に一度という経済危機と言われているのに、過去のルールにとらわれて現実の問題を放置するのは全く無責任である。

結論として次のことを主張したい。

1.09年に予測されているマイナス5%、約25兆円のGDPの減少と失業者の増大を防ぐために、日本政府は必要な経済政策を速やかに立案し、実行すること。

2.政府が行うべき施策として、下記の事業を提案する。
全国に保育所を大増設し女性が安心して働けるようにする、
老人介護施設を大増設し老人が安心して暮らせるようにする、
風力発電や太陽発電施設を大増設して、将来の石油危機に備える、
都市の地下鉄を延長して地上の交通麻痺を緩和する、
都市の開かずの踏切の解消、
都市の交通麻痺を緩和するためにバイパス道路を建設する、
交通事故を減らすために道路の拡幅を行い、歩道と車道を区分けする
北朝鮮の核ミサイルに備えて核シェルターを兼ねた地下駐車場を各都市に建設する等々

[1] 09年世界経済成長率は-0.6%に、日本は-5.0%=IMF高官 2009年3月18日(水)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-370276.html?C=S

[リスボン 17日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)は2009年の世界経済の成長率予想を1月時点のプラス0.5%からマイナス0.6%に下方修正した。ストロスカーンIMF専務理事のアドバイザーを務めるテレサ・テルミナシアン氏が明らかにした。

IMFは最新の経済見通しを近く発表する公算が大きいとしている。
同氏が記者団に語ったところによれば、IMFは09年の米経済成長率をマイナス2.6%とし、1月時点の予想(マイナス1.6%)を一段と引き下げた。

ユーロ圏はマイナス3.2%、日本はマイナス5%と予想。1月時点ではユーロ圏がマイナス2%、日本がマイナス2.6%だった。

日経新聞(09.3.21)によると、民間調査機関18社のGDP成長率予測は平均で09年度はマイナス4.3%。

[2] 文部科学省 (2)経済・産業の変化 (ア)日本のGDPの推移
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/04122001/013/001.htm

[3] いまこそ日本の「失われた10年」に学べ (月刊Voice 2009年2月号)
http://www.globe-walkers.com/ohno/interview/krugman.html

- ストックホルムでも「日本の経験に学ぺ」といわれましたね。
クルーグマン FRBは長きにわたって日本の「失われた10年」に取りつかれていました。ほとんどのアメリカ人はそれを忘れていた、つまり日本がうまく事を進めていないことがわかると関心を失ってしまったのですが、FRBはその関心を捨てまぜんでした。

彼らが日本の経験から学んだこと、それはスランプが起きたとき、初期段階でかなり強引に対処しなければならない、ということです。その教訓に従ってITパブルが崩壊した2001年にFRBは行動し、今回もそうしようとしている。日本が大量の抗生物質を投与していれば、つまり財政上、基本的な金融上の刺激策を行なっていれば、「失われた10年」を避けることができたかもしれない、というのが彼らの分析であり、結論なのです。

[4] 「一人あたりGDP、世界18位」は政策の基本軌道が誤りだったことの証左
http://morita-keiichiro.cocolog-nifty.com/hatsugen/2007/12/gdp_ec1d.html

内閣府が26日発表した「国民経済計算」によると、93年に世界第2位だった一人あたりGDPが、06年にはカナダ、フランス、ドイツにも抜かれ世界18位に低下したという。これはこの間のわが国の採用してきた政策の基本コースに誤りがあったことが累積した結果と考えるべきだ。

世界のGDPに占める割合が低下し1割を切って9.1パーセントになったというのは、中国、ロシアなどの躍進を見ても、当たり前のことのように思うが、小泉政権に象徴される「新自由主義路線」を走ってきた政府や財界の基本路線が、彼らが暗に「福祉が行き過ぎで日本より効率が悪い」とほのめかし続けてきたフランスやドイツに遅れをとるような結果を招いたのだ。

正規雇用を派遣やパートに置き換え、賃上げを渋ることで人件費を削り、医療費の自己負担分を引き上げるなど低所得者に厳しい負担増を図ってきた今の政府・経済界の路線が、自分の首を絞めているのだ。

[5] クルーグマン氏「欧米の景気対策に失望、90年代日本と同じ道」
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090318AT2M1800C18032009.html

「欧米の財政刺激策は不十分で、失望している」。2008年にノーベル経済学賞を受けたクルーグマン米プリンストン大教授は17日、ブリュッセルの欧州連合(EU)本部で記者会見し、EUや米政府の景気対策を舌鋒(ぜっぽう)鋭く批判した。

同教授は景気後退期にある主要国経済を回復させるには、需給ギャップを穴埋めするための追加的な財政出動が必要との立場。持続的な物価下落(デフレ)に直面した1990年代の日本経済を引き合いに出しつつ「もしも追加的な財政出動に踏み切らないと、日本と同じ道を歩んでしまう」と警鐘を鳴らした。

[6] 「欧米の財政出動足りぬ」日経新聞夕刊 2面 09.3.18

[7] 国債買い取り額、1.8兆円に増額 日銀総裁「限界に近い」

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090319AT2C1801T18032009.html
日銀の白川方明総裁は18日、長期国債の買い取り増額を決めた金融政策決定会合の後に記者会見し、「(買い取り額は)かなり限界に近い」と述べ、日銀券発行残高の範囲内に収めるルールの枠内でぎりぎりまで拡大したという認識を明らかにした。長期資金の供給増を通じて市場の安定に全力を挙げ、景気の落ち込みを防ぐ姿勢を強調した。

[8] 日銀総裁「限界に近い」日経新聞 09.3.19 一面
国債買い取り 1.8兆円へ増額

[9] 米FOMC声明全文 3月19日6時18分配信 ロイター
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090319-00000545-reu-bus_all

米連邦準備理事会(FRB)が18日発表した、3月17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)の声明全文は次の通り。略

住宅ローン・住宅市場を一段と支援するため、政府機関が保証するモーゲージ担保証券(MBS)を最大7500億ドル追加購入し、今年の総額を最大1兆2500億ドルとすること、また年内の政府機関債の買い取りを最大1000億ドル増やし、最大で総額2000億ドルとすることにより、FRBのバランスシートを一段と拡大することを本日決定した。さらに、民間クレジット市場の状況改善を助けるため、FOMCは今後6カ月間に最大3000億ドルの期間が長めの米国債(longer-term Treasury securities)を購入することを決定した。略


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